【スペースポートとは?】紀伊・北海道などの日本の宇宙港ガイド

「スペースポート」は、宇宙に向かってロケットを打ち上げる“未来の空港”です。宇宙産業は、いま日本の地方を変える次世代インフラへと進化しています。日本のスペースポートから国際宇宙ステーションや建設予定の宇宙ホテルへアクセスが出来る、月や火星への旅行の玄関口として機能するのも夢ではありません。
 いま、日本でも本格的な宇宙港開発が進み、和歌山県の「スペースポート紀伊」、北海道大樹町の「北海道スペースポート」、大分県の「大分空港スペースポート」など、各地に注目が集まっています。その他にも候補地がいくつか挙がっており構想が進んでいます。
 見学ツアーの開催、観覧スポットの整備、地域の子どもたちへの宇宙教育、雇用や地元企業との連携など、少しずつ「宇宙のまち」が形になってきています。
 本サイトでは、ロケットの打ち上げ予定、現地での観覧スポット、見学ツアー情報、周辺の観光・宿泊情報までを、わかりやすくまとめています。

目次
1.スペースポートって何?
2.日本の代表的なスペースポート
 『北海道スペースポート』について
 『スペースポート紀伊』について
 『種子島宇宙センター』について
 『内之浦宇宙空間観測所』について
3.まだまだ増えるスペースポート!
 福島スペースポート(福島県)
 スペースポート高知(高知県)
 スペースポートおおいた(大分県)
 下地島スペースポート(沖縄県)
4.スペースポートと周辺施設~観光モデルコース~
5.いつ行ったらいい?打ち上げ予定と打ち上げ見学場所
6.まとめ

1.スペースポートって何?
 スペースポート(宇宙港)は、ロケットや宇宙船を打ち上げるための拠点施設であり、『宇宙へつながる空港』です。その役割は単にロケットを発射することにとどまらず、宇宙ビジネスや研究、観光、教育といった多様な目的を支えるインフラとして、世界各地で整備が進められています。
 スペースポートの本質的な目的は、「宇宙と地球を日常的につなぐ」です。これまで宇宙開発は国家主導の限られた活動でしたが、現在では民間企業によるロケット打ち上げ、宇宙旅行、衛星ビジネスが急成長しており、それを支える物理的な“玄関口”が求められています。また、スペースポートは地域経済や教育、雇用の創出にも直結しており、地方創生と新産業創出の交差点としての意義も大きくなっています。
 スペースポートには、打ち上げ用の射場(発射台)、燃料供給施設、ミッション管制センター、追跡通信システム、安全管理区域などが設置されています。施設の設計は、垂直打ち上げ型滑走路を使う水平打ち上げ型に大きく分かれます。後者は既存の空港を改修して整備することも可能で、より柔軟な運用が期待されています。
 スペースポートは今後、宇宙旅行の出発点としてだけでなく、再使用型ロケットの発着拠点や、衛星打ち上げのハブ、さらに地球上の高速輸送(Point-to-Point)にまで展開が見込まれています。世界ではすでに数十のスペースポート計画が動いてます。日本でも「スペースポート紀伊」「北海道スペースポート」などが整備され、国際競争に備えた動きが加速中です。

2.日本の代表的なスペースポート
〇スペースポート紀伊
 ― 日本初の民間ロケット専用宇宙港―


スペースポート紀伊の全体図
引用元:Launch Your Space Business | SPACE ONE | VEHICLE

◆目的・意義
 スペースポート紀伊の主な目的は、小型ロケットの打ち上げ需要に対応する民間射場として、安定的な宇宙輸送サービスを提供することです。スペースワン社による小型ロケット「カイロス」シリーズの打ち上げを中心に、国内外の企業・研究機関のニーズに応えることで、日本の宇宙産業の国際競争力を高めることが期待されています。
 また、和歌山県・串本町と連携して、地域観光・雇用・教育・宇宙人材育成など、多面的な地域振興にも寄与しています。「宇宙が地域にある」という新しい価値観の創出が進んでいます。

◆発展性・未来の展望
 今後は国内外の企業による定期的な小型衛星打ち上げ拠点としての活用が見込まれています。将来的には、他の民間ロケット開発会社の誘致や、宇宙観光との連携、宇宙教育施設の併設など、“宇宙を核とした複合的な地域拠点”としての進化も期待されています。さらに、地方発の宇宙ビジネスモデルとして、他地域の宇宙港開発のロールモデルとなる可能性も高く、日本の宇宙インフラ戦略の象徴的存在として注目を集めています。

〇北海道スペースポート(HOSPO)
ー 地方から宇宙へ挑む世界水準の宇宙港構想ー

 
引用元:Facilities民間宇宙ビジネスをサポート|北海道スペースポート|HOKKAIDO SPACEPORT

◆目的・意義
 北海道スペースポート(HOSPO)は、北海道大樹町が民間企業・自治体と連携して進める、日本発の本格的な宇宙港構想です日本最大級の打ち上げ射場を持ち、将来的にはアジアの宇宙輸送ハブとして機能することを目指しています。
 HOSPOの最大の目的は、民間主導によるロケット開発・打ち上げを支援し、日本の宇宙輸送力を飛躍的に向上させることです。小型衛星市場の拡大に対応するため、低コスト・高頻度のロケット打ち上げ環境を整えることで、国内外の宇宙スタートアップや研究機関の実証・商業利用を加速させることを目指しています。
 HOSPOは「宇宙のまちづくり」を掲げており、宇宙ビジネスによる地域産業の創出、雇用、教育、人材育成への貢献が強く意識されています。大樹町という人口約5000人の小さな町が、宇宙によって世界とつながるという地域モデルの象徴的存在です。

◆発展性・未来の展望
 宇宙スタートアップの集積拠点、衛星活用ビジネスの創出、教育・ツーリズム・地域開発と連動した“宇宙複合都市構想”が同時に進んでいます。
再使用型ロケットへの対応も視野に入れており、今後はアジアにおける定常的な宇宙輸送のハブとして国際的な役割を担う可能性も高まっています。「宇宙×地域」の先進モデルとして、HOSPOは今、地方から宇宙を変える挑戦の最前線に立っています。

〇種子島宇宙センター
― 日本最大級の宇宙輸送基地―


引用元:JAXA | 種子島宇宙センター

◆目的・意義
 種子島宇宙センターは、鹿児島県種子島の南東部に位置する、日本の宇宙開発を象徴するロケット発射基地です。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が運用するこのセンターは、アジア最大級の射場として、長年にわたり我が国の基幹ロケットであるH-IIA/H3ロケットの打ち上げを支えてきました。
 その最大の目的は、国家規模の衛星打ち上げ・宇宙探査ミッションを確実かつ安全に遂行することです。人工衛星の運搬、惑星探査機の打ち上げ、国際宇宙ステーション(ISS)との連携など、日本の宇宙開発・外交・安全保障の根幹を担っています。また、種子島宇宙センターは単なる打ち上げ拠点ではなく、日本が世界の宇宙技術大国として存在感を示すための戦略的施設でもあります。精度の高い打ち上げ実績と、海に面した地形による高い安全性は、国際的にも評価されています。

◆発展性・未来の展望
 今後、種子島宇宙センターは、H3ロケットの実用化や探査機「はやぶさ」シリーズの後継計画など、日本の長期宇宙戦略の要としてさらに発展が見込まれます。一方で、民間企業との連携や観光資源としての活用も進んでおり、打ち上げ見学ツアー、施設見学、教育コンテンツ提供を通じて、宇宙を「特別なものから日常へ」と近づける取り組みも活発です。

〇内之浦宇宙空間観測所
ー日本の宇宙開発を支え続ける観測と挑戦の拠点ー


引用元:JAXA | 内之浦宇宙空間観測所

◆目的・意義
 内之浦宇宙空間観測所(旧・内之浦ロケットセンター)は、鹿児島県肝付町に位置する、JAXAが運用する日本の宇宙観測・小型ロケット打ち上げの中心的施設です。1962年に運用を開始し、日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げにも成功した、『日本の宇宙開発の原点』とも言える歴史的な場所です。
 内之浦の主な目的は、観測ロケットや小型科学衛星を用いた宇宙物理・地球科学の研究、および技術実証です。大型ロケットや商業打ち上げを担う種子島とは異なり、科学ミッションや探査機の打ち上げ・軌道投入のための精密運用に特化した施設となっています。また、科学観測の拠点としてだけでなく、新技術や新機体(ロケット・衛星)の試験運用拠点としての役割も担っており、日本の宇宙技術革新における実験場としての意義は非常に大きいです。

◆発展性・未来の展望
 内之浦宇宙空間観測所は、今後も日本の科学探査・技術実証ミッションの出発点として重要な役割を果たします。これまでに探査機「ひさき」「あらせ」、小型衛星・新型観測機器の実証が行われており、今後も月・深宇宙探査、極軌道観測、電磁観測など先進分野の実験拠点として活用が進む見込みです。現在は、小型・超小型ロケット時代への対応や、民間衛星の技術検証場所としての活用も視野に入っており、科学とビジネスの中間領域をつなぐ試験場としての発展も期待されています。内之浦は「宇宙開発の最前線」というより、「宇宙開発の可能性を広げる静かな拠点」。日本の宇宙の未来を形づくる、もう一つの宇宙への入口なのです。

3.まだまだ増えるスペースポート!
〇福島スペースポート
ー復興と宇宙産業の融合を目指す新たな挑戦ー

◆目的・意義
 福島スペースポートは、福島県南相馬市を中心に進められている宇宙港構想です。東日本大震災からの復興を遂げた地域が、次なる成長産業として宇宙産業に注目し、地域経済の活性化と新たな雇用創出を目指しています。
 福島スペースポートの主な目的は、宇宙産業を通じた地域振興と産業集積です。福島県は、震災後の復興計画「福島イノベーション・コースト構想」の一環として、航空・宇宙産業を重点分野に位置付けています。これにより、地域に新たな産業を誘致し、持続可能な経済基盤を築くことを目指しています。また、南相馬市では、民間企業によるロケット打ち上げ実験が行われるなど、宇宙関連の実証実験が進められています。

◆発展性・未来の展望
 将来的に国内外の宇宙関連企業の拠点として機能することが期待されています。また、宇宙港の設置により、観光資源としての活用や、宇宙教育の推進など、多方面での波及効果が見込まれています。さらに、福島県は、宇宙産業の振興を通じて、地域の魅力を高め、若者の定住促進や人口減少の抑制など、社会的課題の解決にも取り組んでいます。 

〇スペースポート高知
ーアジア最大の宇宙玄関口を目指す民間主導の挑戦ー


引用元:
一般社団法人スペースポート高知 | アジア最大の宇宙玄関口を高知に

◆目的・意義
 スペースポート高知は、2025年2月に設立された一般社団法人が推進する、高知県における宇宙港(スペースポート)開発プロジェクトです。太平洋に面した地理的特性を活かし、2029年度の運用開始を目指しています。主な目的は、宇宙産業の振興と地域活性化です。日本国内ではロケット打ち上げ施設が不足しており、宇宙輸送分野の強化が求められています。高知県は、人口減少や少子高齢化といった課題を抱えていますが、太平洋に面した地理的特性を活かすことで、スペースポートの最適なロケーションになり得ます。これにより、日本の宇宙開発を支えつつ、地域経済の活性化を図ることが可能です。

◆発展性・未来の展望
 アジア最大の宇宙玄関口を目指し、将来的には国内外のロケットや宇宙輸送機が往来する拠点に発展させることを目指しています。また、宇宙関連企業の進出や観光資源の増加により、地方創生のモデルケースとなることが期待されています。さらに、宇宙教育プログラムの導入や、宇宙をテーマにしたエンターテインメント施設の整備など、地域全体の活性化を図る取り組みも検討されています。
 民間主導で進められる日本初の宇宙港プロジェクトとして、地域経済の活性化と宇宙産業の振興を両立させる新たなモデルケースとなることが期待されています。今後の展開に注目が集まっています。

〇スペースポートおおいた
 ― アジア初の水平型宇宙港を目指し挑戦中ー


引用元:大分空港|⼤分のみなと・空港|国土交通省 九州地方整備局 別府港湾・空港整備事務所

◆目的・意義
 スペースポートおおいたは、大分県が推進する「陸・海・空・宇宙」を結ぶ唯一無二の空港構想です。既存の空港インフラを活用し、アジア初の「水平型宇宙港」としての機能を持たせることで、宇宙ビジネスの中核拠点を目指しています。このプロジェクトの主な目的は、宇宙ビジネスを核とした地域経済の活性化と地方創生です。『宇宙関連企業の誘致と産業集積』『宇宙人材の育成』『観光資源の創出』が主に挙げられます。

◆発展性・未来の展望
 宇宙ビジネスの中核拠点としての発展性を持っています。宇宙関連企業の誘致や国際的な宇宙ビジネスの展開に向けた環境整備を進める。理数教育やSTEAM教育の推進を通じて、国際的視野を持つ宇宙人材の育成を図る。そして、宇宙港を活用した観光プログラムの構築や受入環境の整備を行い、新たな観光資源として活用していきます。

〇下地島スペースポート
ー「宇宙に行ける島」から始まる観光×宇宙の未来拠点ー


引用元:宇宙港 | 下地島宇宙港事業推進コンソーシアム | 下地島

◆目的・意義
 下地島スペースポートは、沖縄県宮古島市下地島空港を活用し、民間主導で進められている宇宙港プロジェクトです。愛知県の宇宙ベンチャー企業・PDエアロスペースが中心となり、2021年に「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム」を設立し、国内外の企業と連携して事業を推進しています。
 主な目的は、宇宙旅行の実現と地域経済の活性化です。沖縄県は、下地島空港を活用した航空・宇宙関連産業の展開を進めており、PDエアロスペースは、宇宙旅行の実現に向けた機体開発や宇宙港の整備を進めています。また、観光資源としての活用や、宇宙教育の推進など、多方面での波及効果が見込まれています。

◆発展性・未来の展望
 将来的にアジア地域の宇宙旅行拠点としての発展が期待されています。PDエアロスペースは、2029年の宇宙旅行サービス開始を目指しており、年間1,000人の宇宙旅行者を受け入れる計画です。また、観光資源としての活用や、宇宙教育の推進など、多方面での波及効果が見込まれています。沖縄県は、下地島空港を活用した航空・宇宙関連産業の展開を進めており、地域経済の活性化や雇用創出が期待されています。

4.スペースポートと周辺施設~観光モデルコース~
・スペースポート紀伊の観光モデルコース
 ツアー①串本町のツアー
 南紀串本観光ガイド – 一般社団法人南紀串本観光協会による串本町の観光案内

 ツアー②スペースポート紀伊がある串本町は南紀熊野ジオパークのツアー
 南紀熊野ジオパーク | プレートが出会って生まれた3つの大地~大地に育まれた熊野の自然と文化に出会う~

・北海道スペースポート
 北海道のバス会社がツアーを組んでいます。北海道スペースポートに行く際はチェックしましょう★
北海道のバス旅行 オプションツアーは『ほっとバス』

まとめ
 日本各地で進むスペースポート構想は、もはや『ロケットの発射台』という枠を越えた存在になりつつあります。それは、教育・観光・雇用・地域振興、そして次世代の産業を動かすハブ。
 つまり、スペースポートは「宇宙と地球をつなぐインフラ」であると同時に、私たち一人ひとりの暮らしや未来ともつながる『社会の入り口』なのです。
 和歌山、北海道、大分、高知、福島、下地島など全国各地で宇宙をテーマにしたまちづくりが進み、民間企業や行政、学生、観光客まで、さまざまな人がこのフィールドに関わりはじめています。ロケットのそばにいるのは、エンジニアだけではありません。マーケター、デザイナー、観光ガイド、行政職員、地域の学生たち多様な人々が宇宙に関われる時代が、確かに動き出しています。
 今、スペースポートは『未来を遠くから眺める場所』ではなく、『誰もが一歩踏み出せる現場』として広がっています。宇宙とつながる日本、そしてあなた自身の未来のために。この新しい挑戦の舞台に、少しだけ視線を向けてみませんか?

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